2.演奏技術 (3)基礎技術について 以前より度々記載している「作曲者の意図を表現 する」ということの奏者の留意点について説明する。 当然、奏者にとって「表現する」とは「演奏する」 ことを指す訳だが、実はこの「演奏する」ことが 奏者の最大の難関なのである。 何故ならば、自分の考えた通りに演奏するためには それ相応の「基礎技術」を必要とするからである。 ################################################## Q.では、いつもの通りここで問題である。 「基礎技術」とは一体何のことだろうか? ################################################## 頭の中にはぼんやりと浮かんでいても、言葉にする のは結構難しいものだ。 しかし、ここに書く答えは頭に浮かんだそれとは 違うものだと推測する。 簡単に書くならば以下の通り。 ################################################## A.答えは 『楽譜に書かれている音符や記号を忠実に演奏 するための技術』 である。 ################################################## つまり、あなたに与えられた楽譜に対し、あなたが それを難なく弾くことが出来るのであれば、楽譜の 複雑さに関わらず『その楽譜に対してのあなたの 基礎技術は十分なものである』と言える。 もっと簡単に言えば「ちょうちょ」は弾けるが 「むすんでひらいて」が弾けないという人の場合、 その人の基礎技術は「ちょうちょ」には十分だが 「むすんでひらいて」には十分ではなく、端的には 『基礎技術は「ちょうちょ」レベル』ということに なる。 しかし、最近は学生向けの楽譜あっても超絶技巧を 必要とするものが多く存在する。 中にはその楽器で演奏するに相応しくない楽譜も あってしばしば奏者を困惑させるが、奏者はそう いった楽譜であっても弾かなければならない。 そのため、常日頃から教則本などを利用しての 基礎練習を怠らないようにし、基礎技術の向上に 励まなければならない。 最終的には『楽器を手足のように自由自在に操る ことが出来る』ようになればそれに越したことは ない。 更に、奏者が常に念頭に置いておかなければなら ないことがある。それは、 『普段と異なる環境や舞台上の緊張状態などに おいては、普段通りの演奏が出来る筈がない』 ということである。 人の最大の能力を100%とした場合、通常でおよそ 70%、舞台上では50%の能力も出せないものと 考えてもらいたい。 すなわち、舞台上で100%の能力を要する曲を演奏 する場合には、普段から140%、最大で200%以上の 能力を持つ必要があるということになる訳だが、 いきなり自分の能力を200%まで引き上げることは どんな練習をしたところで現実的ではない。 逆に、「舞台用には50%以下の能力で済む曲しか 選曲出来ない」と割り切った方が良いだろう。 しかしながら、ここで書いた50%とはあくまで 『楽譜を忠実に弾くための基礎技術』に対して 記載したに過ぎない。 奏者には更に「楽譜に書かれていない作曲者の 意図を表現する」ことを求められているという ことを忘れてはいけない。 でもDJは「ちょうちょ」すら弾けませんが・・・。 (↑もっと頑張れ。) ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 【今回の要点】 ○『「基礎技術」とは「楽譜に書かれている内容を 忠実に演奏するための技術」』 であり、奏者は常日頃から基礎技術の向上に 励まなければならない。 ○奏者は、普段と異なる環境下においては普段通り の演奏が出来ないということを常に念頭に置く。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ はじめに戻る |
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